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"KamKam" Health Program
カムカム健康
プログラム

カムカム健康プログラム
(オーラルフレイル複合予防プログラム)の開発

人にとって食べることは生命維持機能の一つだけでなく,根源的な喜びでもあり,人生の中で最後まで残る楽しみでもあります。

長生きを喜ぶ一つのかたちは,慣れ親しんだ場所で,いつまでも口からおいしく食べ,生きることを喜ぶことであると考えます。
しっかり食べて活動することが健康寿命延伸に繋がります。

フレイルとは

近年,超高齢社会の中で注目されている言葉が『フレイル』です。フレイル(「虚弱」の意味)とは,加齢とともに身体が徐々に弱り,心の健康も低下し,社交性も低下して,徐々に健康障害を起こしやすくなり,要介護状態に近づいていく途中の状態を指します。フレイルは健康な状態から要介護に進む中間の時期とされています。

また,フレイルは,筋肉や筋力が減ってしまう身体的フレイルとともに,精神的な疲れや認知機能の低下などの心理的フレイル,引きこもりや孤食などの社会的フレイルがあります。これらが,相互的に作用することで,要介護への負のスパイラルが加速していきます。

そのため,早期にフレイルに気づき,適切な運動や栄養に気を付け積極的に社会参加することで,健康な状態に戻すことが大切です(可逆性)。

フレイルの特徴

オーラルフレイルとは

フレイル予防のためには,栄養価が高い食事の摂取とその食事を食べる口腔機能の維持が重要であることがわかってきました。一方でフレイル予備軍の高齢者では,口腔機能の低下や食事摂取量の低下などが起こっています。

この口の機能のささいな衰えを『オーラルフレイル』と呼んだりします。オーラルフレイルとは,加齢に伴い,口の健康が徐々に低下する状態を指します。オーラルフレイルを放置すると,口の機能低下が進み,食事摂取や栄養に影響を及ぼし,外食機会も減り,社会活動性も低下すると言われています。様々な側面からフレイルの進行に影響を及ぼします。

オーラルフレイルと食との関係

  1. オーラルフレイルと食

    食べることは生命維持機能の1つだけでなく,人の根源的な喜びでもあり,最期まで残る楽しみと言われています。口は“食べる”という栄養摂取の入口であるため,口の機能が衰えると,食べる機能が徐々に障害され,気づかないうちに栄養摂取に支障を来してしまいます。体の健康のためには,栄養バランスの良い食事が重要なのは皆さんご存じかと思います。

    そして,栄養バランスのよい食事を摂取するためには,健康な口が必要となります。しかし,歯周病で歯を喪失し,口周りの舌や唇の筋力が低下すると,私たちは知らず知らずと噛みごたえのある肉や野菜などの食品を避け,軟らかい食事を取るようになります)。肉,魚,野菜の摂取が減り,軟らかい脂質や炭水化物の多い食事は,高カロリー・低たんぱく・低ビタミンの食事となります。

    このような食事を続けていくと,さらに噛む力が弱くなり,軟らかい食べ物ばかり食べるようになります。軟らかいものばかり食べると栄養が偏り,噛む機能の低下に繋がり,メタボやフレイルへの負のスパイライルに陥ります。

オーラルフレイルチェックと
口腔機能低下の評価

私は,食べられているし,口のことで困っていないから問題ないと思っていますか。本当にそうでしょうか。そもそも口の機能の低下は自覚しにくいと言われています。しかし,気づかないままに放っておくと,口の機能は明らかに障害をきたして,食事摂取に不可逆的な問題が起こります。最近は,体力測定と同様に,歯科医院で口の機能を測定できるようになりました。

口の健康力を,身体の体重測定や定期検診のように数値で評価することで,自分の口の機能の状態を把握することができ,早期発見,早期対応に繋がります。まずは,オーラルフレイルのセルフチェックや歯科医院で口の機能測定がを測ることをお勧めします。

オーラルフレイルチェック(Tanaka T, Arch Gerontol Geriatr, 2021)

※4点以上はオーラルフレイルの危険性が高い

オーラルフレイルチェック

歯科医院で測定できる
様々な口の機能

1. 口腔衛生状態:舌苔の付着状況で評価
2. 口腔乾燥:乾燥度を測定する機器で測定
3. 舌の力:舌圧計で測定
4. 咬む力:咬合圧計で測定
5. 唇や舌の運動力:パ・タ・カの発音回数を測定
6. 咀嚼能力:グミゼリーを噛んでもらって測定
7. 飲みこむ(嚥下)問題:10項目の質問用紙で評価

5分で分かる口腔機能低下症

オーラルフレイル予防戦略:カムカム健康プログラムとは?

おいしくかむかむごっくん

ここでは,オーラルフレイルやその先にあるフレイル予防を目的とした『カムカム健康プログラム(Comprehensive Awareness Modification of Mouth, Chewing and Meal (CAMCAM) program)』をご紹介します。

「カムカム健康プログラム」は,口の健康・咀嚼・栄養をコンセプトとしたオーラルフレイル予防の複合プログラムで,JST-SICORPのスウェーデンとの戦略的国際共同研究プログラム(代表者:松尾浩一郎,第1期2017-18年,第2期2019-22年)のもとで開発されました。カムカムプログラムでは,噛む食感と栄養価を高いカムカム弁当®︎をみんなで食べながら,楽しく勉強することで,口の健康意識を高め,食と健康の行動変容を促し,長生きを喜べる環境を創造することを目的としています。

カムカム健康プログラムのHPへ

カムカム弁当とは?

  1. カムカム弁当

    カムカム弁当®︎とは,「噛む食感を楽しみながら栄養をしっかりと取る」をコンセプトとして,噛みごたえが出るように食材や調理法を工夫するとともに11),たんぱく質25g以上,ビタミンD 2.75㎍, カロリー600kcalを摂取できるように工夫した弁当です。

    カムカム弁当のメニューを作成するにあたり,噛みごたえのある食感を付与するために,1)かたい食材を使う,2)食材を大きく切る,3)加熱時間を短くする,4)水分を少なくする。の4点を調理の工夫としています。カムカム健康プログラムのHPにカムカム弁当のレシピも掲載しているので,ご興味ある方はこちらもぜひご参照ください。

    カムカム健康プログラムのHPへ

いつもの食事にちょっとした工夫を加えることで,すぐにカムカムメニューに変えることができます。カムカム食を食べることで,噛むことを感じて,味わい,楽しむことで,あらためて普段食べている食事や自身の食行動を考え,自宅でできる口の体操なども交えて,健康や咀嚼に関する意識付けや行動変容を期待できます。

カムカム健康プログラムの
社会実装に向けた取組み

歯科衛生士カムカム健康プログラムの社会実装とはによる活動

通いの場を利用したフレイル予防の取り組みは重要ですが,市民にとって無理がなく楽しく継続的に参加できる取り組みであることも重要です。カムカム健康プログラムは,誰もが摂取しなければならない「食事」を通して,口の健康・咀嚼・栄養に関する意識変容を促す取り組みです。

われわれは,愛知県と長野県の地域在住高齢者を対象にしたカムカム健康プログラムによって,オーラルフレイルリスクの高い対象者に対して,オーラルフレイルやフレイル改善させ,食と口の健康への意識と行動を変容させる効果がみられたことを報告しました(Hidaka R, 2023)。

これらの研究結果を踏まえて,今では幾つかの自治体とのCAMCAM-P共同事業を実施しております。カムカム健康プログラムにご興味ある方,自治体,研究者の方は,お気軽にこちらまでご連絡ください。

ご連絡はこちら

研究成果

Kito N, Matsuo K Ogawa K, Izumi A, Kishima M, Itoda M, Masuda Y: Positive effects of physical and oral exercises combined with “textured lunch” gatherings on physical and oral function in older individuals: a cluster randomized controlled trial. J Nutr Health Aging. 23(7):669-676. 2019. DOI:10.1007/s12603-019-1216-8.
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Matsuo K, Kito N, Ogawa K, Izumi A, Masuda Y: Effects of textured foods on masticatory muscle activity in older adults with oral hypofunction. J Oral Rehabil. 47:180–186. 2020. doi.org/10.1111/joor.12901
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Matsuo K, Kito N, Ogawa K, Izumi A, Kishima M, Itoda M, Masuda Y: Improvement of oral hypofunction by a comprehensive oral and physical exercise program including textured lunch gatherings. J Oral Rehabil. 48:411-421. 2021. doi.org/10.1111/joor.13122
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Hidaka, R., Masuda, Y., Ogawa, K., Tanaka, T., Kanazawa, M., Suzuki, K., . . . Matsuo, K. (2023). Impact of the Comprehensive Awareness Modification of Mouth, Chewing and Meal (CAMCAM) Program on the Attitude and Behavior Towards Oral Health and Eating Habits as Well as the Condition of Oral Frailty: A Pilot Study. J Nutr Health Aging, 27(5), 340-347. doi:10.1007/s12603-023-1913-1
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研究関連のホームページ

・高齢者の食事に関する日本と
スウェーデンの共同研究

Go Independent「自立高齢者を増やすための革新的食品提供システムの開発(Innovative food technology systems for independent senior living)」

高齢者の食事に関する日本と
スウェーデンの共同研究

・カムカム健康プログラム
「おいしく・カムカム・ごっくん」

おいしく・カムカム・ごっくん

・JST-SICORP事業

JST-SICORP事業 JST-SICORP事業

・AMEDヘルスケア社会実装基盤整備事業

・AMEDヘルスケア社会実装基盤整備事業 AMEDヘルスケア社会
実装基盤整備事業

カムカム健康プログラム
動画資料

・カムカム健康プログラム

・5分でわかる口腔機能低下症

松本歯科大学
カムカムメニュー
レシピ集WEB版

松本歯科大学カムカムメニューレシピ集WEB版

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